ミッションなぜ金星を探査するのか

金星と地球の画像を並べた図

金星を探査する理由、それは私たちが住む地球をより深く理解するためです。

金星と地球は、ともに約46億年前に誕生したと考えられています。その頃の金星には地球と同じように海があったかもしれません。しかし現在の金星には海はなく、二酸化炭素の厚い大気に覆われています。地球より太陽に近い金星は、高温で水蒸気が蒸発しやすく、大気上空まで運ばれた水蒸気は太陽の紫外線により水素と酸素に分解され、軽い水素は宇宙空間に逃げ出してしまったのかもしれません。さらに海を失った金星は、地球のように二酸化炭素を海に溶かし込むことができず、大量の二酸化炭素が大気中に残ってしまったのかもしれません。

また金星上空の大気は、自転の60倍もの速さで流れており、地球の大気の流れとは異なります。なぜ金星でこのような大気の流れが生じるのか、地球の気象学では説明することができません。

私たちは、金星と地球を分けた理由について、確かな情報を多くは持っていません。金星の環境の成り立ちが分かれば、地球が金星のようにならずに、温暖で湿潤な生命に溢れる星となった理由が分かるはずです。また金星大気の流れを説明する金星の気象学ができれば、地球の気象学と合わせてより普遍的な惑星気象学ができると期待されます。惑星気象学の視点で地球の気象を考えることで、地球の大気がなぜ今私たちが知るような姿をしているのか、また将来どうなっていくのかについてより深く知ることができるでしょう。