飛翔体としての「あかつき」は、2枚の太陽電池パドルを持つ箱型の形状(1.04m ×1.45m×1.40m)をしており、軌道投入や姿勢制御のためのスラスターや地球と通信を行うためのアンテナなどを備えて宇宙空間を飛翔します。

「あかつき」の機体各部の名称を示した図 表側「あかつき」の機体各部の名称を示した図 裏側

金星は、地球より太陽に近いため「あかつき」は強い太陽光にさらされます。「あかつき」の太陽電池パドル付け根の2面は太陽光の当たらない面で、銀色の放熱材により宇宙空間に熱を逃がします。残りの面は金色の断熱材で覆われており、太陽光による温度上昇から探査機内部を守っています。また観測データを地上に送るアンテナも、太陽光が集められて温度が上昇することを防ぐために、平面型のアンテナを用いています。探査機本体は回転させずに太陽電池パドルが常に太陽を向き、安定して電力供給ができるよう設計しています。

金星観測衛星としての「あかつき」には、紫外線から中間赤外線までの様々な波長で金星大気を撮影するカメラが5台と、気温などの高度分布を観測するための電波発振器を搭載しています。複数のカメラで同時に金星大気の観測ができるように、5台のカメラは全て同じ方向へ向けて取り付けてあります。

「あかつき」の観測波長

「あかつき」の観測波長を説明した図

紫外イメージャ(UVI)

雲の形成に関わる二酸化硫黄や、紫外線波長で吸収をもつ未知の化学物質の分布を紫外線でとらえます。また太陽光に含まれる紫外線が金星の雲で散乱される際の濃淡の模様を追いかけることで、雲頂高度での風速分布を調べます。

PI:渡部重十(北海道情報大学)

紫外線イメージャの写真と機体への取り付け位置を示した画像

雲の形成に関わる二酸化硫黄や、紫外波長で吸収をもつ未知の化学物質の分布を紫外線でとらえるとともに、その変動から雲頂高度での風速分布を求めます。

カメラ機器データ

質量 約4.1kg
視野角 12°
検出器 Si-CCD(1024画素×1024画素)
観測波長と観測対象 283nm(昼:雲頂の二酸化硫黄)
365nm(昼:未同定吸収物質)
撮影画像

1μmカメラ(IR1)

金星の雲の下や地表付近まで透視できる1μm付近の波長を利用し、異なる波長の赤外線の強度を比べることで、下層大気の雲の動きや水蒸気の分布、地表面の鉱物組成、また活動を続けている火山の有無などを調べます。

PI:岩上直幹(元東京大学)

1μmカメラの写真と機体への取り付け位置を示した画像

カメラ機器データ

質量 約6.7kg ※
視野角 12°
検出器 Si-CSD/CCD (1024画素×1024画素)
観測波長と観測対象 1.01μm(夜:地表面、雲)
0.97μm(夜:水蒸気)
0.90μm(夜:地表面、雲)
0.90μm(昼:雲)

※IR2と共通の回路部(約3.9kg)を含む

撮影画像

2μmカメラ(IR2)

金星の雲の下まで透視できる2μm付近の波長を利用して雲の濃さ、雲粒の大きさ、一酸化炭素の分布などを観測し、下層大気の流れや雲のでき方などについて調べます。また金星到着までの間に黄道光を観測し、太陽系内に広がるダストについて調べます。

PI:佐藤毅彦(ISAS/JAXA)

2μmカメラの写真と機体への取り付け位置を示した画像

カメラ機器データ

質量 約18kg ※
視野角 12°
検出器 PtSi-CSD/CCD (1024画素×1024画素)
観測波長と観測対象 1.735μm(夜:雲、粒径分布)
2.26μm(夜:雲、粒径分布)
2.32μm(夜:一酸化炭素)
2.02μm(昼:雲頂高度)
1.65μm(黄道光)

※冷凍機およびIR1と共通の回路部(約3.9kg)を含む

撮影画像

中間赤外カメラ(LIR)

波長 10 μmの赤外線で雲の上端の温度を観測します。雲頂の2次元的な温度分布から雲層上部の波動や対流活動、昼夜にわたる雲頂高度における風速分布を調べます。

PI:田口真(立教大学)

中間赤外カメラの写真と機体への取り付け位置を示した画像

カメラ機器データ

質量 約3.3kg
視野角 12°〜16°
検出器 非冷却ボロメータ(328画素×248画素)
観測波長と観測対象 10μm(昼/夜:雲頂温度)
撮影画像

雷・大気光カメラ(LAC)

3万分の1秒間の明るさの変化をとらえられるカメラによって、短時間の間に生じる雷放電を検出し、金星での雷放電発光の有無に決着をつけることを目指します。また高度100km付近の高層大気の酸素が放つ大気光という淡い光をとらえ、昼面と夜面の間の大気の流れや大気波動を映像化します。

PI:高橋幸弘(北海道大学)

雷・大気光カメラの写真と機体への取り付け位置を示した画像

カメラ機器データ

質量 約2.3kg
視野角 16°
検出器 8×8 APDマトリックスアレイ
観測波長と観測対象 777.4nm(夜:雷放電発光)
480-605nm(夜:酸素分子大気光)
557.7nm(夜:酸素原子大気光)
545nm(較正用)

超高安定発振器(USO)

「あかつき」が金星の背後に隠れるとき、「あかつき」から発せられた電波は金星大気をかすめて地球に届きます。その際、電波の受信周波数が変化します。この変化を解析することで気温や硫酸蒸気の分布を推定することができます。超高安定発振器はそのための電波発信装置です。

PI:今村剛(東京大学)

超高安定発振器USOの写真と機体への取り付け位置を示した画像
電波掩蔽観測のイメージ

観測機器データ

質量 約2kg
観測波長と観測対象 USO周波数38MHz
送信周波数8.4GHz(気温、硫酸蒸気、電子密度)